アイ・ケア・ビコーズ・ユー・ドゥ。
赤坂のまんだらけに立ち寄る。
とくに欲しいものはないけど、寄る。
いつものこと。
適当に店内をぶらついて、思想・哲学のコーナーにいきつく。
マックス・ウェーバーやジャック・デリダは他の古本屋でもよく見るが、
さりげなくフェリックス・ガタリの晩年の詩篇、『リトルネロ』が置かれているあたり、「オタクの店だなあ」と思うのである。
なんとはなしに、背面の棚をみる。
西島大介の名前が飛び込む。
西島大介のコーナーらしい。
ディエンビエンフーを未だに読み終えていない(もっとも、この漫画自体未完で終了したが。まあ、今年から新装版が毎月出版されて本当に完結するらしいけど)のに、ファンを名乗ると戦争が起きそうだが、この漫画を機に西島大介のファンになった。そういや、西島大介とこれまたファンである『この世界の片隅に』、『夕凪の街 桜の国』のこうの史代の対談をユリイカで読んだときは脳汁出たなあ。。。
閑話休題。
この棚に、ディエンビエンフーももちろん並んでいた。
ただ、全巻大人買いする気合いはなく断念。いつもだなあ。
「ちょっとずつ買えよ」? 愚問。
ディエンビエンフーは諦めるとして、隣に並んでいた作品の中で前から気になっていた『世界の終わりの魔法使い』既刊1〜4巻の購入を決める。
続いて、タイトルと帯に惹かれた『すべてがちょっとずつ優しい世界』の購入も決める
ちなみに、帯は
「西島大介最新作、静寂と闇の中での小さな祈りの物語。
広島↔︎福島 過去↔︎未来 僕たちの選択。」
さらに、その横に今まで知らなかった、まっしろな、イかした装丁の漫画を見つける。
I Care Because You Do
アイ・ケア・ビコーズ・ユー・ドゥ
これがその漫画のタイトル。
すぐにヴェローチェでコーヒーを飲みながら読んだ。
一コマ目から最高だった。
センスが溢れてるなあ。
あんまり内容を言うと、おもしろくないのでちょっとだけ紹介すると、
3人の主人公は、「神さまのいない」90年代にそれぞれの「神さま」をもっていた。
それぞれの信者もといオタクたちのラブ?ストーリー?が交錯したりしなかったり。
さらにオザケンやら「ゾンビーぞうさん」やら、「しょーこー、しょーこー、あさはらしょーこー」やら、悪ふざけとしか思えないリフレインがそんな日常にこだまする。話。ちょっと紹介するといったけど、それ以上でもそれ以下でもない気がしてきた。
要するに、西島大介が青春時代を過ごした90年代の「カルチャー」を描きだす、そんな漫画。
90年代といっても私はまだ一桁歳だったので、そういったカルチャーの当事者ではない。だけど、『エヴァ』も見たし『トップをねらえ!』が出てきたときなんか興奮したし、リチャード・D・ジェイムスって誰やと思って調べたらAphex Twinの本名で(にわかかな?)、とっくのむかしにApple MusicでアルファベットのAみたいなジャケットのアルバム(「Selected Ambient Works 85-92」)聴いてたやんけ、という感じで、この漫画一冊であらゆることがつながって興奮した。そういやYOSHIKIは?実はエックスまともに聴いたことないっていったら殺される?
↓アルファベットのAみたいなジャケットのアルバム
ちなみに、この漫画のタイトルはリチャード・D・ジェイムス=Aphex Twinの同名のアルバム「I Care Because You Do」から。
ジャケットいかれてんな。。。
アルファベットのAみたいなジャケットのアルバム(タイトルを覚えてない?ハハハ、そんな、、やだなあもう)よりかは、アイ・ケア〜のほうが好き。あれはあれで、アンビエント聴きて〜ってときに聴いたのでよかったけど、あまりにも、「凪」って感じで抑揚がない。わざとやったらしいけど。
西島大介の知ってる作品以外で、おもしろい作品はないかと調べていると、椎名もたの名前が出てきた。
椎名もたは別名ぽわぽわPとして活動していたアーティスト。「していた」というのは、2015年に20歳でこの世を去ったため。「アストロノーツ」がめちゃくちゃ好きで、初めて聴いたとき泣いてしまったのを思い出す。
なんで西島大介と椎名もた!?と思って調べると、どうやら2人には深い親交があったようで。
さらに、その親交のきっかけも、椎名もたが亡くなったときに西島大介が寄せた漫画をよむと、故人が西島大介の今回紹介したアイ・ケア・ビコーズ・ユー・ドゥーを読んで「これは僕の物語だ!!」と強く反応したことにあると描いてある。
・・・。
不思議な縁というか。
自分の好きな作品とかアーティストって、やっぱりどっかで共鳴してるんだよなあと。
今日はそのことを強く感じました。おわり。